大久保です。今日は不動産を売るときにどうすればいいか、ということについてご案内させていただきます。アウトラインをざっくりと説明する形ですが、お役に立てれば幸いです。
親が住んでいた土地と家屋を相続したとき、可能な限り維持したいと思うのは、自然なことだと思います。しかし相続人が複数いて、公平に分配するためにはお金に換える必要があったり、地理的に距離があって管理が大変だったり、維持するのに意外と費用がかかることが分かってきたりする中で、売却せざるを得ないことも多いようです。
また、住み替えしたいときや遠隔地へ引っ越すしかなくなったとき、ローンの支払いを続けていけなくなったときにも、ずっと住むつもりでいた家やマンションを売却する他なくなりますが、とりあえずどう進めていけばいいのか分からないことが多いのではないでしょうか。
【売却するためにはどうするか】
不動産を売却するにあたっては、買主を見つけ、契約書を交わさなければなりません。
当たり前のことを言うなといわれるかもしれませんが、実はこれがすべてでして、買主を見つけるためにどうするか?契約を交わすためには何に気を付けるか?と考えを進めていくことが基本となります。
地元にネットワークがある方なら、運が良ければ買主を見つけられるでしょうし、人によっては契約書の作成自体もそれほど難しくないかもしれません。契約そのものも、不動産の取引じたいも、不動産のプロを介在させなくても、たいてい問題なく終わっていくと思います。
しかし一定の確率で(20件に1件くらい)、不動産のプロが介在しないとややこしくなったり、あらかじめ明確な取り決めをしていなかったために引き渡した後にもめるケースが出てくるでしょう。
ですので自分で買主を見つけた場合でも不動産会社に契約業務を任せることをお勧めします。実際の例で見ますと、1年に1組くらいの割合で買主を見つけた上で相談に見える方もいらっしゃいます。自分で買主を見つけることも不可能ではないのですが、そういった場合の買主さんはほとんどの場合、売主さんのお子様だったり親戚の方だったりしするようです。
【資産処分に不動産会社を介在させるメリット】
不動産会社に売却を依頼すると仲介手数料がかかりますが、トラブルを未然に防いだり、万が一トラブルが発生したケースでも安全・安心に解決できることを考えると、けして高くはないのではないでしょうか。実際私もこの業界に入る前に不動産を売却した時は、不動産会社に売却を依頼した後で知り合いに声をかけました。自分のマンションの相場はかなりな精度で分かっていたのですが、流通業界のサラリーマンだった当時の私の見当では説得力がなさすぎたからです。
その時の自分の経験から言いますと、自分ならいくらで今のこの場所の不動産を買うか?ということを冷静に・客観的に見れる方なら相場を予測することは難しくないのです。難しいのは自分自身が売主であるため自分の事情や欲目が反映してしまうことでしたね。
売却する際には、『自分はいくらで売りたいか?』とは別の問題として、『自分ならいくらで買うか?』ということを考えておくのも相場を理解するうえで重要でした。
できるだけ高く売りたいのは自然な気持ちですが、買う立場になってみるとできるだけ安く買いたいだろうな、それが自然な気持ちだな、ということにも思い当たるのではないでしょうか。不動産会社に相談する前に、自分でいろいろ調べてみるのもいいかもしれません。
【売却検討時の一番の留意点】
最後に売却を検討するときに最も重要な留意点を紹介しておきます。
前述したように自分の資産が売れそうな金額の見当をつけるのはそれほど難しくないのですが、「売れた金額=手元に入るお金」ではないことは特に重要です。
なんらかの理由でお金が必要だから不動産を売却するわけですから、正確ではなくてもある程度は事前に把握しておくことをお勧めします。
手元に残るお金を式で表現すると下のようになります。
手元に残るお金 = 売却価格 ― 諸経費 - 税金
諸経費には、仲介手数料、相続登記費用、土地測量費用、建物解体費用等が考えられます。例に挙げたものはかならずかかるというわけではないのですが、測量費用ですと30~50万円、解体費用なら150~200万円くらいかかることが多いです。
税金については、不動産の売却にあたっては、所得税(譲渡所得税と呼ぶことが多いです)がかかることがあります。
不動産を購入した価格より高く売却できた場合、課税される可能性があります(購入した金額より安く売却した場合には課税されません)。
譲渡所得税の税率は、約20%あるいは約40%と比較的高い率なのですが、いろいろな優遇措置もあるおかげでマイホームを売却される場合には結果的に全額免除されることが多いです。
相続財産についても、平成31年末までの時限立法ではありますが、<空き家の譲渡所得の3000万円特別控除>を利用することが可能です。
このあたりを把握しておかないと、売却したお金を住み替え先の購入資金に充てたい場合には資金計画が繰りますし、売却したお金を相続人間で分配する場合にはトラブルのもとになります。
以上、ざっくりとアウトラインをご案内させていただきました。